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高校三年生のカウントダウン

12月。

高校三年生は頭の中でカウントダウンを始める。

〝学校に来るのは残り○○日〟

そんなことを考えながら何人かの生徒は授業中、窓の外に視線を落とす。

楽しみと不安

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3年間一緒に過ごしてきたクラスメート。

小さな田舎の学校で過ごす仲間は、自分の家族よりも一緒にいる時間が長かった。

そんな家族よりも家族となった仲間とは、これから別々の人生を歩む。

人によっては大学へ進学し、人によっては専門学校へ。そして人によっては就職し働きに出る。

18歳になった彼らが初めて感じる、それぞれの生き方。

つい最近まで同じ釜の飯を食う仲間が、次のステージへと進む。

楽しみと不安。

それぞれがそれぞれの感情を胸に残りわずかな時間をカウントダウンする。

高校という縛られた生活から、憧れていた自由な解放された世界へと。

わずかな時間

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12月にもなると、彼らが共に学校で一緒になれる時間は残り数日。

憧れていた自由な生活へ突入するということは、同時に仲間との別れを意味する。

ある程度の年齢にさしかかっている人なら知っている。

高校時代の同級生と常に連絡を取り合うことは、必ずしも多いことではないと。

大学へ進学し、専門学校へ進学し、それぞれの就職先へ就職すると、それぞれの価値観や世界観は一気に変化する。

今まで当たり前だったと思っていたことは当たり前でなくなり、今まで正しいと思っていたことが必ずしも正解ではなくなる。

高校から卒業し次のステージへ移行するとは、そういうことだ。中学校から高校へ進学するのとはわけが違う。

そしてそんな彼らと共に過ごす時間は残りわずか。

わずかな最後の青春が残っている。

特別な時間

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仲間との別れ、高校の卒業。

これらを意識する特別な時期。

頭の中ではそれぞれが「学校に来るのはあと○○日か」と頭を過ぎる日が多くなる。

特別なことではない。

大人と言われる多くの人はこの時期を通り過ぎてきた。

今までの高校生活で湧き上がってこなかった特別な感情。

そんな特別な感情の真っ只中にいる三年生は、楽しみと不安のどちらが大きいのか。それともどちらも大きくはないのか。

特別な時間はいつでも感じれるものではない。

高校生活の中でカウントダウンを始めるのは後にも先にもこの期間だけなのだ。

ラストラン

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あんなに嫌だったあの授業。

早く解放されたかった寮生活。

何もないと感じていた田舎の暮らし。

数ヶ月後には全てがかけがえのない思い出へと変わる。

何気なく過ごしていた町は、いつしか心の拠り所の町へと変化する。

ラストラン。最後まで駆け抜けろ。

隣に座る友人との時間を大切に過ごせ。

くだらない出来事と、くだらない会話を財産だと思え。

細かなことを指摘してくれる先生に感謝を抱け。

そんな気持が君を成長させる。

君が数える残りのカウントダウンは、次のステージへのカウントダウンなのだ。