見出し画像

幌加内高校、ついに隣町の紹介まで始めてしまう

いわゆる、ネタ切れ。

人口1200人ちょっとと、全校生徒39人の学校のブログを継続して3年ほどたった頃でしょうか。

とうの昔にネタ切れは何度もありましたが、いよいよ絶望的なネタ切れのため隣町を紹介することで幌加内町のイメージアップを図り、したたかなウェブマーケティングを発揮する幌加内高校のブログ。

そうは言っても、隣町を知ることで生徒の皆さんも地域探究になるという一石二鳥の可能性を持ち合わせるこの記事は、マーケティング x 教育という、ベネッセもリクルートも舌を巻く、地方の町立高校が本気を出したアイディア戦略。

大企業からのヘッドハンティング、いつでも絶賛受付中。

こんにちは。幌加内高校ですが何か?


和寒(わっさむ)

幌加内の中心地から車で30分弱。
お隣の町、和寒町があります。

「和寒町は、ワッ!サムイ!」

なんて、誰でも思いつくようなチープな冗談を幌加内高校が飛ばすはずもなく、まずは町名の由来から。

幌加内町もそうですが、和寒町ももちろん、名前の由来はアイヌ語。
ここら辺では比布(ピップ)町や当麻(トオマ)町などアイヌ由来の町が点在しています。

ちなみに和寒の意味は「オヒョウニレの木の傍ら」を意味しているそうで幌加内は「逆流する川」を意味しています。

和寒町はクロスカントリースキーのメッカでもあり、多くのアスリートを排出している町でもあります。

人口は約3000人。
町民1200人ちょっとの幌加内からすると、大都会兄貴の存在であり、憧れのローソンもセブンイレブンもセイコーマートもある、正真正銘のネオン街。

特に北海道で有名なのは「越冬キャベツ」という、和寒名産の甘味のあるキャベツで、多くのメディアに取り上げられています。



越冬キャベツとは?

雪が降る前に収穫したキャベツを畑に並べ、雪が降り積もるのを待ちます。
上から降り積もる雪が、冷凍庫変わりとなり、ゆっくりと熟成され甘味が増すことにより、美味しいキャベツになります。

雪の下にあるキャベツは寒さから身を守るために、タンパク質をアミノ酸に変えることで、糖度を増しえぐみを抜いていきます。

通常のキャベツは糖度が約7〜8度ですが、越冬キャベツの糖度は約10度。

キャベツのシャキシャキ感と、甘味の強さは野菜であることさえ忘れてしまいまうほどです。

雪の中からキャベツを掘り起こす作業は、ここら辺では風物詩の一つになり、真っ白な畑の上で、黄緑のキャベツが数多く並べられていることがあります。

キツネや鹿の野生動物も出るので、あまり長い期間放置されてはいませんが、運よく見ることができたならば、少しばかり珍しい光景かもしれませんよ。

せっかくなので幌加内高校、まさかの隣町のふるさと納税を紹介しちゃいましょう。


ハロウィン町

和寒でもう一つ有名な産業は、かぼちゃ。
秋になるとオレンジや黄色の巨大なパンプキンが、所々で見受けられます。

農家さんの家によっては、玄関前に色とりどりのかぼちゃが並んでいることも少なくありません。

まるでシンデレラがかぼちゃに入っているかのような雰囲気は、秋の和寒町が織りなすメルヘンな夜を映します。


ジブリ映画「魔女の宅急便」で主人公のキキが、おばあちゃんに頼まれて「かぼちゃとニシンのパイ」を配達した際、受け取った孫娘が「私このパイ嫌いなのよね」と言ったのは、国民的に有名な話。

この時に和寒町のかぼちゃを使い、キキが機転を効かせて「和寒町のかぼちゃとニシンのパイ」と言っていれば、おそらく孫娘も喜んで受け取っていたことでしょう。

なぜなら、和寒町には「かぼちゃの王国」があるほどです。
そう、王国です。

幌加内町にも「半袖王子」という王子がいたので、もし王国に王子が必要であればいつでも声をかけてください。世界初の〝レンタル王子〟ができる町、幌加内です。

塩狩峠

和寒町にある「塩狩峠」は故三浦綾子さんが小説に書き下ろし、映画にもなった所です。

1909年に列車が分離し、コントロールの効かなくなった列車の下に潜り込んだ鉄道員が、自らの命と引き換えに多くの乗客の命を救った実話。

今ではそれらの話を知っている人は少なくなりましたが、実際に起こった話であり、小説家、三浦綾子さんのファンなどは、未だに訪れています。

春の時期になると線路沿いに桜が綺麗に咲くこともあり、鉄道ファンなどがシーズン目がけて撮影をしていることもありますね。

塩狩峠自体は稚内につながっている国道40号線も通っているため、夏には多くのライダーや旅人が、国内最北端を目指して通過します。

小さな峠ですが雪の降り始めなど、早期に雪化粧をするので春夏秋冬で様々な顔を見せてくれる峠です。


ということで

「灯台下暗し」という言葉があるように、幌加内高校の生徒もあまり知らなかった隣町。

生徒にプチ情報を与え、地域探究の知見を与えつつ、幌加内町のイメージアップを図るスタイルは、全世界の高校が取り入れるべき新時代のハイスクールマーケティングです。

最後にもう一度、隣町のふるさと納税を紹介することで、幌加内役場から鬼のようなクレームを受けることになるかもしれません。

町立高校なのに、自らの町のふるさと納税宣伝ではなく、隣町のふるさと納税を紹介するこの勇気。

これからの地方創生に最も大事なことは、町のクレームを一切気に留めない鋼のメンタルであるということがお分かりいただけたでしょうか。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!